法務デューディリジェンス
DDとは何か
を前回書きました。
今回はDDの中の法務DDについて記載します。
DDには種類があることは前回書きましたが
当然種類によって、役割が大きく異なります。
法務DD はどのような目的を持ち、役割を果たすのでしょうか
1)法務DDの目的
①取引(M&A)実行の障害となる法律上の問題点の発見
②対象企業の価値評価に影響を与える法律上の問題点の発見
③買収後の事業計画などに影響を与えるまたは買収後に改善すべき法律上の問題点の発見
④経営判断に影響を及ぼし得るその他の法律上の問題点の発見
つまり法務DDの役割は
M&Aを成功させることができるか否かを法律上のリスクの有無という観点から
調査、検討することといえます。
2)法務DDのプロセス
法務DDはどのような手順で行われるのでしょうか
ここからは買収する側を買主、買収される側を売主(買収される企業および売却する株を保有する株主を総称します。)といいます。
①買主・売主間での秘密保持契約の締結
DD実行にあたって、売主は買主に対して重要な情報、資料を大量に提供します。
DDの結果、M&Aの実行に至らないことも多々ありますので
そこで開示した情報を保護するためにも秘密保持契約は重要です。
※秘密保持契約
開示する情報を秘密情報として、第三者に開示・漏洩等しないことを約束する契約
また、買主にとっても、その秘密保持契約において
売主の提供する情報の網羅性や正確性を保証させることで、安心してDDを実行できます。
(必要と判断される情報の全てを提供すること
提供する情報が正確であること をいいます。)
②関係者によりキックオフ
キックオフMTGを実施して、今後のスケジュール詳細や
事業内容の確認等を行います。
③買主による必要資料の請求
DDにあたり、何を重要として判断の指標にするかは
買主によって異なることもあります。
買主からDDにあたって必要であると考える資料をリスト化し
売主に提供を請求します。
④開示資料の検討
売主から提供された資料を検討します。
ここが非常に手間と時間のかかる作業です。
⑤インタビュー
当然、資料から全ての情報を得られるわけではありません。
資料から得た情報や検討の結果を元に不明点や
売主の名の声を確認することで、より正確なDDを行うこととなります。
⑥④と⑤の繰り返し
資料の検討やインタビューにより
さらに資料やインタビューが必要となることがあります。
重大なリスクを見落とさないためもに
この作業を納得いくまで繰り返し行うこととなります。
が、実際には時間の制約もありますので、2~3回程度で
終了させます。
また、この間に財務DD担当者やビジネスDD担当者と意見交換を行い
他のDDで浮き彫りとなったリスクや法務DDから懸念されるリスクに関する情報を
交換します。
⑦報告書の作成
⑥までで得られた情報を元に報告書を作成します。
この段階で、追加DDが必要となることもあります。
⑧買主の最終判断
DDの終了およびM&Aの実行に関する決断を
報告書を元に買主の責任者が判断します。
大体ですがこのようなプロセスによって
法務DDは行われます。
3)DDは誰がやるのか
財務DD、法務DDという名称からも
当然その道のプロフェッショナルによって
DDを実行することが確実です。
財務DDであれば、財務経理担当者や会計士
法務DDであれば、法務担当者や弁護士事務所
当然、弁護士事務所等に依頼することは確実性が高まります
が、実行予定のM&Aの対価等から
費用対効果を考慮して、各社担当者が実施することもあります。
ただ、その場合でも資料の検討を各社担当者が行い
重要なリスクに関する相談や、DD実行にあたってのアドバイス等の
DDの一部を弁護士事務所に依頼するというのも無駄の無い方法です。
ちょっと堅いお話でしたが
DDのプロセス概要でした。
次回は、個々の作業における留意点について
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